糖尿病をひとことで言えば、血糖値が高くなる病気です。
エネルギー源となるブドウ糖が細胞に供給されず血液中に溜まってしまうのです。なぜそんなことが起こるのでしょうか?
これに大きく関与するのがインスリンの作用です。
糖尿病は大昔から、尿が多量に出て身体が衰えていく病気として知られ、後に糖尿病の尿には糖が含まれていて甘いことがわかりました。尿の中に糖が溢れるのは、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が増え過ぎたためです。尿に糖が出る血糖値の境界線は170mg/dL程度で、健康な人は血糖値が160mg/dLを超えることはほとんどありません。軽症の糖尿病患者であれば、尿糖が出るのは血糖が高くなる食後のみです。しかし、糖尿病が進行すると食後だけではなく空腹時にも血糖値は上がるようになるため、常に尿糖が出るようになってしまいます。このように『尿に糖が溢れ出てしまう』のが糖尿病なのですが実際の糖尿病検査は「尿糖値」ではなく「血糖値」を調べます。つまり血糖値が問題の病気なのです。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンの一種です。インスリンは食物から消化・吸収されて血液に入ったブドウ糖を筋肉や脂肪などに取り込み、肝臓ではブドウ糖の放出を抑制して、血糖が一定値以上に上昇しないように働いています。しかし糖尿病になると、インスリンが作用し難くなるため、インスリン抵抗性やインスリン分泌不足が起こります。また、すい臓から分泌されるインスリンの量が減ったり、他の原因で分泌されたインスリンが上手く作用しなくなると血糖値が上がって糖尿病になるというわけなのです。